先日、ある生徒さんがやめることになりました。
でもそれは、とても心に残る暖かい出来事だったので、感謝を込めて、ここに残しておきますね。
その子は、とても優しくて、きれいなものや、暖かいものが大好きな、内面の豊かな女の子。
本が大好きで、レッスンに行くと、よく本を読んでいました。
「絵本作家になりたい」という夢があり、絵本のお話を作って応募して、入賞したこともある子でした。
そのお話を読ませてもらったことがあるのですが、とても心が暖かくなる、ジー~ンとくるお話で、本当にそのまま絵本になりそうな、素敵なお話でした。
内面がとにかく豊かで、文学に限らず、音楽もきれいな響きが好きなようで、私がジブリやディズニーなどを弾くと、それはそれはとても喜んでくれました。
ただその豊かさと同時に、繊細さも持ち合わせていて、レッスンでは、ミスに対してとてもプレッシャーを感じているなと私は思っていました。
「間違えても大丈夫」「いまのは練習だよ、本番じゃないよ、」と何度も声をかけました。
それでも、間違えると「どうしよう!」と慌てているのが手に取るように分かりました。
なんとか弾き終わると、ホッとするのか、「ふぅ~~」と息をしていて、一回一回、必要以上に、とても気を張り詰めた状態で弾いているので、レッスンが苦痛にならないように、とにかく緊張させないよう、余計なプレッシャーを与えないように気を配りました。
そういう配慮をしながらのレッスンでしたが、本人にも向上心はあり、ちょっと自信がつくと「もう1回弾いてもいい?」と言ってくれるので、それが嬉しかったです。
宿題は相当のプレッシャーだったようなので、途中からなくして、レッスンの中で、曲や、音階、和音の練習を続けました。
おうちでの宿題の練習ができないと、ピアノをやめたくなるんじゃないかなぁ、どうかなぁと心配になった時期もありましたが、お母さんと相談しながら、レッスンの内容を工夫して続けてゆくことができました。
いろいろやりました。
ジブリの曲を少しずつ進めたり、即席の連弾や、指の体操、リズム、ノート学習、音楽鑑賞したり。
その子は、いつもこちらの提示したものを「うん」と言って取り組んでくれるので、レッスンはとてもスムーズにできました。家庭練習はなくても、レッスンで続けてやっていくうちに、音階4オクターブをスラスラと弾けるようになり、その子のペースで成長しているのを感じることができました。
やりたくない事もあったかもしれないけれど、基本的に「うん」と言って取り組んでいました。
「今日はすごく疲れたみたいだな」と思うと、音楽カルタやパズルをやったりして、楽しいことも取り入れながら、「レッスンが楽しい、音楽が好き」という気持ちを育てられるように、私なりに努力しました。
時々、嬉しそうな笑顔を見せてくれるのが、本当に私も嬉しかったです。
そうやって続けてくれていましたが、ご事情でやめられることになり、1ヶ月前にその旨伝えて頂きましたので、最後の1ヶ月は思い出に残るようにと思い、「最後だから、やりたいことをやろう!」と提案すると、なんと、「以前発表会で弾いた曲を弾けるようにしたい」と言ってくれました!
その曲は、演奏の途中で止まってしまった苦い思い出のある曲で、しかも、舞台に上がる前、泣いてしまって、大変な思いをしたであろう曲。
発表会(公開ステージ)は、みんな出て良かったと言ってくれるので、その子にもお勧めしたのだけど、本当に泣くほど嫌だったみたいで、当日も泣いてしまって、そこまで緊張が強い中、それでもなんとか舞台に上がって弾いてくれたのでした。そんな事があったので、その次からは参加されませんでしたが。
その苦い思い出の曲を、1ヶ月かけてまた取り組んでくれて、最後のレッスン日、ミニ発表会、ということで(発表会と言うと、本人のプレッシャーになってしまうので言わなかったけど(^-^;))、記念に動画に撮り、お母さんにお渡ししました。
そして、最後の最後に、私が中島みゆきさんの「糸」を弾かせてもらいました。
なんか、なにかの「会」みたいだね、とみんなと笑いながら・・・でもしんみりしながら・・・
そして、生徒さんの手から、品物を頂きまして、お菓子だったんですけど(有難うございました♪)、その時は気がつかなかったのですが、帰ってからよくみたら、手紙が入っていてビックリ!
3枚にびっしり、きれいな字で、今までのことや、お礼などが書かれていました。
内容もだけど、文章がとても上手で、ビックリしました。
さすが、文学少女だなぁ、、起承転結もしっかりしていて、読んだ相手が喜ぶように書くことができてる、、
人の気持ちがよく分かって、文章力もある、
これは絵本作家になれるわ! 頑張れ~!!
と心から応援したくなるのでした(*^-^*)
親御さんとも生徒さんとも、最後までよい関係を築けて、大変有難く、今後またどこかでお会いしたいなと思わずにいられない、すてきなご家族との別れでした。
有難うございました。
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